男を思い通りに操る術、教えます。

妄想と虚構のブログです。記載内容は全てフィクションです。

小説 「嵐の夜に」 その1

M系男子のブログ読者の皆さん。


ごめんなさい。


今日から気分一新して、ブログ小説を書こうと思います。 ちょっとエッチな内容が含まれるかもしれませんが、M系男子のための小説ではありません。


たぶん、2週間くらいで飽きると思います。 自分の性格からすると・・・


アクセス数が減ることを覚悟して、小説に挑戦してみます。


応援&メールは、大歓迎です178


 

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静かな朝。


部屋の中は薄暗く、少し寒い。 昨日の夜に食べたパスタのお皿が、テーブルの上に残されている。 ママが見たら、呆れるかな。 父親が見たら、もっと呆れるんじゃないかな。


昨日から始めた独り暮らし。 高校生の頃から、東京の大学に進学して独り暮らしをするのが夢だった。 そのために、一生懸命だったような気がする。 勉強と部活を両立して頑張っていた。


もちろん、両親は大反対。 大反対している二人を敵にして、東京の有名大学に入学した。


「合格おめでとう。」といったママの言葉は、心の底からは喜んでいない。 「女の子なんだから、県内の短大でも良かったんじゃないか?」と父親は言っていた。 父親の学歴を超える大学に入学するのだから、おめでとうくらい言って欲しかった。


昨日は、引越しだった。 荷物なんて、少ししかない。


女の子にしては、少なすぎる荷物だった。


6年間使っていた軟式テニスのラケットと、小さな頃から好きだった水泳のための水着とゴーグル。 2泊3日くらいの旅行かと思われる程度の化粧ポーチ。


ダンボール3箱に収まった着替え。 英語の辞書2冊と、卒業アルバム。 大学入学祝いで買ってもらったノートパソコン。


シーツと布団カバー。 枕と枕カバーは、新品だった。 タオルやバスタオルも、新品だった。
でも、随分古いオリンピックの「公式スポンサー」のマークが入っている。
「ママの悪い癖だ、、、」
家では、古いタオルを何年も使っている。 タオルやお皿を貰ったら、古いものを捨てて、新しいものを使えばいい。 父親は、いつも怒っていたけど、ママは気にしていなかった。
友達と旅行に行くと言えば、新しいタオルを出してくれていた。 貧乏ではないと思っていたし、実際に貧乏ではない家庭だった。 節約が趣味のママではなく、単にケチなだけだと思っていた。


そんなママが、シーツも枕カバーも、タオルもバスタオルも、全て新品のものをダンボール箱に入れたんだって分かったのは、片付けの最後だった。


「引越し、終わったよ。」って電話しながら、最後のダンボールを開けた時だった。


「ありがとう。 我侭言って、ゴメンネ。」って素直になれたのは、オリンピックの公式スポンサーのマークが入ったバスタオルを見つけたからかもしれない。 何年も前のオリンピックのマークだったから。


学習机を使わない私が、受験勉強で使っていた小さなテーブル。 「冬はコタツにもなるし、、、」って言って持ってきたけど、電源コードやヒーターは見当たらなかった。
電話したときにママに聞いておいたけど、きっと見つからないと思っている。


独り暮らしを始める学生用の、電化製品セット。 これは、引越しの最中に配送業者がやってきて配線までやってもらった。 冷蔵庫と電子レンジ、洗濯機とテレビ。


父親から貰った50万円は、あっという間になくなりそうだった。 半分くらいは貯金しておいて、試験期間中には、アルバイトをしなくても生活できるようにしようと思っていた。


敷金礼金。 電化製品。 大学までの原チャリ。 今日は、調味料やお皿を買いに行かないと。
そうしたら、もう、お金がなくなっちゃうかもしれない。


独り暮らし2日目で、こんなに不安になると思っていなかった。


・・・ そうだ。 テッチャンに電話しよう。


幼馴染のテッチャンも、東京の大学に進学するから独り暮らしを始めていた。 同じ路線で、すぐ近くの駅に住むことになっているって言ってた。


不安になったときに、同郷の幼馴染が近くにいるだけで、少しだけ不安が減るかな。


・・・ そうじゃない。 そうじゃないよね。


テッチャンのそばに居たくて、東京に出てきたんだった。 自分の気持ちにすら素直になれていないんだ。 本当は、テッチャンと同じ駅で部屋を探せば良かったんだけど、変な風に思われたくなくて、わざと少し離れた駅にしたんだった。


お互い携帯電話だから、近くに住んでいようが、遠くに住んでいようが、関係ないはず。


・・・ でも、きっと、近くにいるんだよね。


もうずっと昔のことになるかな。 テッチャンが私に告白してくれたのって。
中学校の卒業式のあと、近所の中華料理屋を貸しきって、ジュースと餃子で乾杯した日。 クラスのほとんどの友達が、狭い中華料理屋でパーティをした。


好きな子と同じ高校に進学できない男子が、餃子の匂いを気にしながら、幼い告白に挑んでいた。 思い出すと笑ってしまう光景がある。 ファンタオレンジを片手に、女の子を口説いているバスケ部のキャプテン。 あのあと、告白された女の子がどうしたのか、そこまでは覚えていない。


そう。 テッチャンは、私のことが好きだった。 今日、告白してくれると嬉しいと思っていたけど、私たちは同じ高校に進むことが決まっていた。 今日、告白する必要なんて、なかった。


長い高校生活で、一番楽しいときに、幼い告白ではなくて大人のような告白をしてもらいたかった。


でも、テッチャンのことが好きな由布子が、テッチャンの隣の席に座って、一生懸命に話をしていた。 テッチャンの困った顔を見て、少しだけ安心したけど。 でも、ずっと不安だった。


「ねえ。 さっちゃん。」
テッチャンに呼ばれて席を移る。 緊張のかけらもないテッチャンの笑顔。 由布子も笑ってた。テッチャンの向かい側に座って、由布子に笑顔を見せようとした。


「なあ、磯村。」 テッチャンが由布子に大きな声で話し始めた。 隣の席に座っている由布子と話をするには、不自然なほど大きな声。 周りにいた友達も、大きな声に迷惑そうだった。


テッチャンは、ジュースで酔っちゃったように、大きな声でしゃべり続けた。


「俺が好きなのは、さっちゃんだけ。さっちゃんだけだよ。」


あまりにも幼稚な告白。 友達にも、恋敵にも聞かれた。 私には逃げ場もなく、でも、逃げ出したかった。


結局、テッチャンのテーブルに座ったまま、気まずそうにしていた。


テッチャンも後悔してた。 目を伏せていたけど、私のことを心配そうに見ていた。 でも、まわりにからかわれるのを嫌っている私の気持ちが分かったのか、一言もしゃべらなかった。


同じ高校に進学したとはいっても、男子クラスと女子クラスでは校舎も別々だった。 結局、一学期の中間試験まで、なにも喋らずに過ごした。


テニス部では、新人戦の選抜選手に選ばれた。 テッチャンも私も。 でも、練習は別々。 となりのコートにいるテッチャン。


これが、初告白の惨めな結末。
テッチャンのバカ。 それが、その頃の私の口癖。 心の中で、何十回と呟いた。


夏休みになると、テッチャンはアルバイトを始めた。 ファーストフードやコンビニ店員。


やっと気まずさから脱出できた私は、勤務時間にあわせてマクドナルドに行ったりした。でも、男子高校生の持ち場は厨房だけ。 そんなことすら知らなかったので、何度もお店に行ったけど、結局一度も会うことはなかった。


「アルバイトでお金を貯めてるんだ。」
テッチャンとの初めてのデート。 おしゃれが苦手は私は、部活の後だったからと自分に言い訳をしながら、ジャージのまま。 初デートなのに、、、と今でも後悔している。


・・・あのときに、もっと女の子らしい服を着ていれば良かったのに。
と言っても、今でも、女の子らしい服は苦手のまま。 初デートも、そのあとも、ずっと同じような服ばかり。
昨日だって、引越しがあったからだけど、男の子みたいな服だった。


「お金貯めて、どうするの?」
テッチャンが、夢中になっていることを知りたかったから、聞いてみた。 テッチャンが夢中になっていることに嫉妬していることは、少しだけ自覚していた。


高校一年の夏、初めてのデート。 不器用なふたり。 ふたりとも不器用だったなんて、そのときは気づいていなかった。 そしてそれが意味することは、今のふたりも不器用かもしれないということ。 自覚できるくらいには成長したけど、器用になったわけじゃない。


「さっちゃんにプレゼントしたいんだ。」


思い出すだけでも笑ってしまうような不器用な言葉。 もっと上手く言ってくれれば、可愛い女の子のように振舞って、プレゼントしてもらえることを喜んだはず。


「いらない。」
そんな冷たい言葉を返した。 私のほうが、何倍も不器用だった。 テッチャンは、私の冷たい言葉で、きっと、動揺したんだと思う。 タネアカシするには、タイミングが悪すぎていた。


「さっちゃんに、可愛い服を着てもらって、女の子らしいカッコでデートしてもらいたいんだ。」


毎日部活で真っ黒に日焼けして、髪も邪魔だから短く切りそろえて、大きな声を張り上げているから、声だって枯れている。 そんな私に可愛い服なんて似合うはずがない。


「いいよ。 そんなの。 着たくないし。」
そういって話を打ち切ってしまった。


テッチャンは、高校一年の夏を、素直になれない私のせいで無駄に過ごしてしまった。
今なら言えるかもしれないな。 「ごめんね、あのときは。」って。


265


・・・ テッチャンは、いつでも、いつまでも、私のことが好きなんだよね。


その安心感があったから、東京の大学に進学してきたんだった。


朝ごはんなんて要らない。 テッチャンの声を聞いて、買い物に連れて行って欲しかった。
外は晴れている。 駅前のオートバイ屋さんには、新品の原チャリが待っている。 テッチャンの部屋を襲撃しよう。


3月は、今日で終わり。 卒業式が終わったときに、もう高校生ではなくなったと思っていたけど、今日までは高校生。 高校生最後の一日は、テッチャンと遊びたかった。


まだ朝の7時。 電話を鳴らしたら迷惑かもしれないと思って、メールを送った。


「おはよ。 昨日、私も引っ越してきたよ。 起きたら電話してね。」


絵文字も使わない高校生なんて、、、っていつも言われてたけど、テッチャンも私にメールを送るときには絵文字を使わない。 絵文字では伝えられないこともあるから。


メールを送って、やっとベッドから這い出した。 私の持っている服の中で、一番可愛い服を着よう。 それから、新宿か渋谷に行ってみよう。 テッチャンに可愛い服を選んでもらって、買っちゃおう。 父親にもらったお金を使い切ってもいい。 テッチャンの3年間の夢だったんだから。 高校生として最後の一日に、夢を叶えて上げよう。


そうしたら、昨日までのふたりじゃなくなると思うから。


デパートで化粧のやり方を教わってみようかな? それだったら、化粧は薄いほうがいいのかな? 今まで悩んだことのないことを、一生懸命考えてみた。 もちろん、考えたって答えが見つかるはずはなかった。あ


携帯がバイブレーションした。 テッチャンからのメールのときに鳴る音じゃなかった。


誰からだろう?


誰からでもなかった。 テッチャンに送ったメールが届かなかっただけだった。


今日は、一日、、、


ナニヲシヨウカナ。


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この記事へのコメント

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無題

せ、切ない
でも、ありがちな話です
やっちまい勝ちな話なんですよね
  • from 晴間 :
  • 2013/05/18 (11:48) :
  • Edit :
  • Res

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